以前から使用してみたかったガラード301の初期タイプのハンマートーンをヤフーで落札したが回しているとモーターが以上に熱を持つので分解とオーバーホールを技術力のあるお店に修理をお願いした。
まずプラッターはリペイント品ですが初期グリースモデルのガラード301 オリジナルで間違いは無いとのこと。シュリロ貿易の元担当者にも確認をしましたら、オリジナルで間違いないとの事。
このガラード301 のハンマートンはS/N12710 の初期グリースモデルのハンマートンで、通常のグリースモデルよりもプラッターがやや薄く、塗装面も剥離しやすい独特の水性塗料で薄く仕上げられていること
で剥離しやすいので再塗装したと思われます、塗料は油性と思いますとのこと。
リベイント前
リベイント後
そこでガラードのハンマートーンの塗装では有名なフジックス上野さんにお願いをして水性塗料での再塗装をして頂きました。プラッター以外は油性塗料ですがオリジナルは昔の鉛を使った油性塗料です。こちらはそのままの状態です。
それと、ガラードはプラッターの塗装も重要ですがプラッターマットの方が大事で、社外品を載せると鳴きが止まらず、全くダメな音しか再生出来ませんのでマットは時代が合いませんがオリジナルのマットです。
次にアイドラーは接触面がツルツルで滑り、トルクと定速が出ませんでしたが、薬品処理と研磨で復活したので、オリジナルのままです。
無暗に現行品に変えるとレンジは広がりますが、ゴムが軟らかいため3~4 年で摩耗し、急激なトルクの低下など引き起こす原因になりますので止めました。
メンテを進めて行くとスピンドル周りが想像以上に固着が酷かったです。
古いグリスがタール状になっていたかと思えば、液化してドロドロになっている箇所もあり、前オーナーが洗浄しないまま、成分が異なるグリスを入れたことが原因と思われますが高圧で洗浄剤を掛けて何とか綺麗にしました。
ハンマートーングリースモデルはスピンドルのグリスで雲泥の差が出ますが、オリジナルのグリスが手に入ったのでスピンドル軸受けを組みました。
ねっとりと吸い付くような軸受けの感触が特徴ですが、これを車用など適当な現行グリスを使うと全くダメで、せっかくのグリースモデルの強引さがある音像がぼやけ、力感がなく最低音の出方がしょぼい音にな
ってしまいます。
このモデルを活かすも殺しもする最重要ポイントになります。
初期グリース仕様は、スピンドル軸受けに非常に粘りが強い特殊なグリスを使用しているため、モーターに掛かる負荷が大きく発熱も多いことから、ローター軸に冷却フィンが付いているのが特徴です。
このため、フィン無しのモーターと比較すると、風切り音など動作音がやや大きめに出ることから、ローターが回転する中心位置を追い込むことで非常に静かに回転するようになります。
アームにつきましては、分解したところ、支点周りやベアリングも滑らかで非常に状態がいい個体でした。
針圧を印加させるスプリングの腐食とアースの接続がやや浮き気味でしたので修理しました。導通は左右とも問題は無かったです。
フォノケーブルはオリジナルのままでしたのでややシールドが弱い、低出力・低インピーダンスのMC カートリッジを使うとハムが出る可能性があり、
別にレコーディング用マイクケーブル(カーブルエレクトロニクス社、ドイツ製)を用いた旧DIN5 ピン→RCAのケーブルに変更いたしました。